{ "dataList": [ { "id": 0, "content": "芸術というものは、割れた鏡の欠片の上で乱反射する\n様々な色のようなものだ。" }, { "id": 1, "content": "難解で、予測不可能で、不規則だが、美しい。" }, { "id": 2, "content": "いかなるものでも描き出せるがゆえに、\nいかなるものでも想像していたものを作り出すことができる。" }, { "id": 3, "content": "想像すらできなかったことも、誰かの作品を見て悟り\n着想を得ることができる。" }, { "id": 4, "content": "それゆえ薬指との芸術を選んだことは、私の人生において\n最高の選択でないわけがない。" }, { "id": 5, "content": "もしやすると、私の生涯は最初から芸術だったのかもしれない。" }, { "id": 6, "content": "私には興味深いものが沢山あったからだ。\nまるで乱反射して生じた七色の光のように…。" }, { "id": 7, "content": "技術一つに没入したまま…ただ、予想可能な範疇の発表会なんかを\nやる人生はそもそも私には似合わなかったということだ。" }, { "id": 8, "content": "点描派に勧誘された点もまた、私にとって非常に素晴らしい機会であった。" }, { "id": 9, "content": "点一つに込められた無限の宇宙。\nそしてその点が段々と増えて宇宙の集合が作られ、\nまたその集まった姿そのものがまた別の宇宙になるという…。" }, { "id": 10, "content": "眺めているだけでも永遠に思索できる点描派の作品に、\n私が惹かれるのは当然であった。" }, { "id": 11, "content": "スチューデントという高尚な肩書きを受け取ってから、\n私はまるで人工の翼をつけたかのように自由と可能性を満喫した。" }, { "id": 12, "content": "笑いが出るほど愚かな日々だった。私の翼は、ただ私が描き作りさえすれば\n良かったというのに、小さな機械部品なんかを弄っていた\n嬰児時代の私は、死んでも知る由はなかっただろう。" }, { "id": 13, "content": "あぁ…とても惜しすぎる時間だった。" }, { "id": 14, "content": "ぼんやりと過ごしてしまった時間を\n運命だと思って安住していた日々よ。" }, { "id": 15, "content": "筆を取って、それらの姿を手ずから変えてあげよう。" }, { "id": 16, "content": "無駄だった過去は、それによって芸術へと昇華する。\n価値が無いように見えたものが、あっという間に美しくなる。" }, { "id": 17, "content": "まだスチューデントに過ぎないが、有数の作品を作ってきたマエストロたちに\nついていけば、私の作品も急浮上するかのように日進月歩するだろう。" }, { "id": 18, "content": "一段と気が軽くなったので、今回の「課題評価」は\nより一段と軽い気持ちで挑めそうな気がする。" }, { "id": 19, "content": "…そして間もなく、私は評価現場に到着する。" }, { "id": 20, "content": "不快で意味不明な作品たちと\n極度の不安に包まれている人間たちの姿。" }, { "id": 21, "content": "哀願している者たちの声が幾重にも合わさって\n空間を埋め尽くしているようだが、\n私にはただのブツブツいう騒音にしか聞こえない。" }, { "id": 22, "content": "おそらく、自分の命を保つために\n評価を緩く下してくれることを懇願しているのだろうが。" }, { "id": 23, "content": "答えは落第。" }, { "id": 24, "content": "どれもつまらないものばかりだ。" }, { "id": 25, "content": "しかし…。" }, { "id": 26, "content": "そうだ、答えが無いわけでもないだろう。" }, { "id": 27, "content": "私は不安に震える住民たちを一ヶ所にまとめる。\n作品の評価を下してやると告げる。" }, { "id": 28, "content": "そうだ。この団体作品の評価を下してやると言う。" }, { "id": 29, "content": "もちろん、彼らの作品は全て個人作品だ。\nしかし未熟であっても、彼らよりかは優れた識見を持った私の助けが加われば…。" }, { "id": 30, "content": "この作品は素晴らしい団体作品になるだろう。" }, { "id": 31, "content": "当惑の表情が何人かに浮かぶ。完璧に理想的な状態だ。\n皆にその表情が浮かんだのなら、あまりにも単純だっただろう。" }, { "id": 32, "content": "そして私は、喜びながら…。" }, { "id": 33, "content": "点を打ち込むように、巨なる自分の大筆を素早く、多数の素材に突き刺す。" }, { "id": 34, "content": "噴き出す赤い絵の具。" }, { "id": 35, "content": "驚きと当惑、不安と必死さの宿った表情が\n非定型的にひっくり返る姿。" }, { "id": 36, "content": "彼らがこのような方法で観客参加型の団体作品を準備したという点に、\n胸がいっぱいになるほどの感動を覚えた。" }, { "id": 37, "content": "だから私は彼らに良い評価を与えるしかないだろう。" }, { "id": 38, "content": "この作品の評価は…。" }, { "id": 39, "content": "A+." } ] }