{ "dataList": [ { "id": 0, "content": "ブツブツ言う声が、狭い部屋の中でかすかに響いている。" }, { "id": 1, "content": "蝋燭が揺れ、子供の指先で波打つ赤い墨の付いた筆も揺れている。" }, { "id": 2, "content": "子供が休まず書き付けているのは、黄色地に赤い字のお札。" }, { "id": 3, "content": "誰かに向けた願いと恨みを込めた、意味不明の呪文があれこれ書き付けられていくだけだ。" }, { "id": 4, "content": "子供はどこかで呪術でも習ったのかな。" }, { "id": 5, "content": "そうじゃないだろうね。" }, { "id": 6, "content": "じゃあ、子供の属した…「技術解放連合」というところでお札の書き方を習ったのかな?" }, { "id": 7, "content": "そうじゃないだろうね。" }, { "id": 8, "content": "あるいは、研究所のテロに役立つ凄い技術が込められた紙を作ってるんじゃないかな?" }, { "id": 9, "content": "まさか、そうじゃないだろうね。" }, { "id": 10, "content": "子供はただ、旧L社の地下に残されたE.G.Oを借用して数回の戦闘を行ったんだ。それだけだろうね。" }, { "id": 11, "content": "でも、子供はお札と呪術というものに心酔しているみたい。" }, { "id": 12, "content": "E.G.Oを着たわけじゃなくて、道具として使うわけじゃなくて。" }, { "id": 13, "content": "E.G.O…あるいは幻想体そのものになったかのように、取り憑かれたみたいにそれの心を行動に移してるんだろうね。" }, { "id": 14, "content": "そう。大抵のE.G.Oは使用者を侵蝕させようとするものなんだ。" }, { "id": 15, "content": "他人の言葉を勝手に借用して、他人の行動をそのまま真似すれば、気が付くとその人と似た人になるって話もあるでしょう?" }, { "id": 16, "content": "他人の心を道具として使い続けると、それに同化するのはもしかしたら自然な流れなんじゃないかなって思うの。" }, { "id": 17, "content": "我を忘れて…まるでそれに自我を奪われたかのようにね。" }, { "id": 18, "content": "もっと侵蝕される前に他の人が子供のE.G.Oを脱がした方が良いだろうけど、優秀な適合度を見せながら成果を出している様子を見るに、子供が属した組織じゃ簡単に脱がしてくれなさそうな気がするね。" } ] }