Files
2026-07-20 17:19:20 +07:00

395 lines
13 KiB
JSON

{
"dataList": [
{
"id": 0,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "言え。"
},
{
"id": 1,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "むぐぐ!!!むっぐう!!!"
},
{
"id": 2,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "…口を塞いだままじゃ、喋れないらしいな。"
},
{
"id": 3,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "ぷはっ!当たり前だろ!!口にテープなんか貼っておいて、\nどうやって喋れっていうんだ!"
},
{
"id": 4,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "そうか?鴻園の人間なら二、三日に一度くらいは見ないか。\n口を使わずに発話する奴を。"
},
{
"id": 5,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "それはそういう丸を使う奴らくらいで…。"
},
{
"id": 6,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "シー家の連中は、揃いも揃って舌が長いな…。"
},
{
"id": 7,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "ひっ!?"
},
{
"id": 8,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "お、お命だけは!一度だけでいいの―"
},
{
"id": 9,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "な、何でもするから殺さないでくれ…。もう二度も死んで生き返ったんだ。\nさ、三度目は脳みそがどこからどこまで溶けちまうか分からないんだってば!!!"
},
{
"id": 10,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "はあ…それなりに名の通っていた家門が、\nどうしてこのザマまで堕ち果てたんだか。"
},
{
"id": 11,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "訊・無・事…。\n訊・無・口・閉。"
},
{
"id": 12,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "…何言って、ん?"
},
{
"id": 13,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "その妙な言葉の縮め方…。\nお、お前…リン姓のあいつか?"
},
{
"id": 14,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "数年前に護衛武士だなんだと抜かして、四大門家でもない\n勢家の分際で大観園に取り入ったっていう…。"
},
{
"id": 15,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "…キッチュだな。"
},
{
"id": 16,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "目の前にいつでも喉笛を掻き切れそうな人間が刃を握っているというのに、\n平然と殺されやすくなる言葉をほざいてやがる…。"
},
{
"id": 17,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "だが言っていること自体は正しいから、\nただの間抜けとも言い切れないようだ。"
},
{
"id": 18,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "美学的な価値はあるから…く・へするには惜しいな。"
},
{
"id": 19,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "く…あ、あれだよな?首をへし斬るって…。\nじゃあ、た、助けてくれるって―"
},
{
"id": 20,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "ぎゃあっ!"
},
{
"id": 21,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "腕をばたつかせるのは不快だ。"
},
{
"id": 22,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "新しい家主について、知ってることを洗いざらい言え。"
},
{
"id": 23,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "ううっ…は?そ、そんなの知ってるわけないだろ…。\nうちの家門の人間でもないし…。"
},
{
"id": 24,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "知ってるはずだが。"
},
{
"id": 25,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "お前ら。シー家、ワン家、シュエ家。\n家主対戦で全員手を組んで、一人を担ぎ上げたからな。"
},
{
"id": 26,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "どうして…?"
},
{
"id": 27,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "ピーチクパーチクさえずる輩は、お前一人じゃないんでな。"
},
{
"id": 28,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "くっ…いや、し、仕方ないだろ!"
},
{
"id": 29,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "じっとしてたら、ジア家がまたいともたやすく家主の座を\n食っちまうのに…そんなの黙って見てられるかよ?"
},
{
"id": 30,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "それに…こっちだって被害者なんだ。"
},
{
"id": 31,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "そいつを家主の座に押し立てたのも事実だし、実際そうなりはしたけど\nいざ座に収まると、こっちの言うことなんて一切聞かなかったんだ!"
},
{
"id": 32,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "…?"
},
{
"id": 33,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "こっちだって、鴻園にある事業所の土地代金の猶予を\n伸ばしてやるって話だったから手を貸したのに…\n再積日になった途端、更地にしやがったんだよな?"
},
{
"id": 34,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "自分の家の奴ら同士も信じきれない癖して、\n別の家門のやつを持ち上げるからそのザマなんだろ。"
},
{
"id": 35,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "違う、違う!そういうことじゃなくて…。"
},
{
"id": 36,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "く、詳しくは契約のせいで言えないけど…\nあいつは、俺たちとの約束を必ず守らなきゃいけなかったんだ。"
},
{
"id": 37,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "なのにこんなふうに振る舞ってるってことは、\n単なる心変わりじゃないはずだ…。"
},
{
"id": 38,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "な、なんか、きな臭いんだよ。\nそうだ、その…お前が守ってた、あの頭でっかちの青瓢箪!"
},
{
"id": 39,
"teller": "???",
"title": "シー家",
"content": "平和な鴻園だのなんだのって妙な妄想をしてたあいつが\n家主になってたとしても、きっと―"
},
{
"id": 40,
"teller": "???",
"title": "シー家"
},
{
"id": 41,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "キッチュさを追い求めすぎると、ある瞬間…不快になるものだ。"
},
{
"id": 42,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "…こうなった以上、次はシュエ家を当たるべきか。"
},
{
"id": 43,
"model": "료슈",
"teller": "良秀",
"title": "鴻園",
"content": "虎を狩りに虎の穴へ入っていくようなものだが…。このお喋り野郎の\n言っていたザマを見るに、向こうもそういつまでも\n知らぬふりばかりしてられない状況だろう。"
},
{
"id": 44,
"content": "これといった収穫も得られず市場の方へ戻ると\n周りの建物がバキバキと音を響かせながら、あちこちへと移っていた。"
},
{
"id": 45,
"content": "再積日が増えたか。"
},
{
"id": 46,
"content": "三日前にも部屋の調整があったはずなのに\n一週間と経たないうちに、また空から人間が落ちてきている。"
},
{
"id": 47,
"content": "今では前兆現象すら訪れず、一瞬にしてガタガタと\n動き出すものだから最低限の避難時間さえない。"
},
{
"id": 48,
"content": "…おかげで、人の雨は霧雨から土砂降りへと変わった。"
},
{
"id": 49,
"content": "再積日が発生するのは旧H社の残滓で、勝手に作動する仕組みだと\n確か聞いたことがあるのだが、新しい家主が座に就いてすぐにこのザマってことは…。"
},
{
"id": 50,
"content": "十分に、意図的だと言えそうだ。"
},
{
"id": 51,
"content": "これなら、本当にあいつが言っていたことも\n実現できたのかもしれないと思えてくる。"
},
{
"id": 52,
"content": "自分が家主になれたなら、真っ先に再積日を消したいんだと言ってた…\n浪漫ばかり追いかけていたジア家の人間。"
},
{
"id": 53,
"content": "ボンボンだから妄想癖がこじれているのか、とも思ったが…。"
},
{
"id": 54,
"content": "今になって思えば、俺もまったく\n気に入らなかったわけではなかった気がする。"
},
{
"id": 55,
"content": "ひょっとすると、その中に美学を見出していたのかもしれない。"
},
{
"id": 56,
"content": "鴻園の、大観園の高位の者であれば、人を何ともなしに殺し\nどんな権謀術数でも平然とやってのけるのが当然だというのに…。"
},
{
"id": 57,
"content": "そんなものよりも、支離滅裂に墜落していく者たちを\n救いたいという浪漫。"
},
{
"id": 58,
"content": "未だに、理解はできていないが。"
},
{
"id": 59,
"content": "こうして何度も思い出しているあたり、俺も感化されたようだな。\n中々の佳作を傍らに置いていたんだろう。"
},
{
"id": 60,
"content": "…やはり、一次審査の準備で歩き回っていたときに\nもっと武術を仕込んでおくべきだったな。"
},
{
"id": 61,
"content": "乾いた笑いと共に、やたらと狭い鴻園の人工の空を見上げると\n降りしきる人の雨の合間に、真っ黒な編み笠が見えた。"
},
{
"id": 62,
"content": "子を解いたか。"
},
{
"id": 63,
"content": "家主へと繋がる糸口を求めてあれこれ殺して回ってたら\nもう轡を握る尊い方々も、俺に目を留め始めたってことか。"
},
{
"id": 64,
"content": "俺はこの鴻園の底辺で、たった一人を除いて誰にも全く興味はないんだが…。\nまったく、自分の命が惜しい連中は随分と<ruby=すね>脛</ruby>に傷を持ってるらしいな。"
},
{
"id": 65,
"content": "悪いチャンスじゃない。これを口実に黒獣を放ったやつを辿っていけば、\n俺の命を狙ったという理由で、また家主へと至る糸口を得られるかもしれない。"
},
{
"id": 66,
"content": "糸口は一本さえあればいい。"
},
{
"id": 67,
"content": "俺はあの野郎の遺志を継ぎたいとも、\n<ruby=えきせい>易姓</ruby>の刃になりたいとも思ってはいないが…。"
},
{
"id": 68,
"content": "今の鴻園は、醜悪さの中にさえ美しさを見出せない\n駄作と成り果てちまったのだから。"
},
{
"id": 69,
"content": "まぁ…。"
},
{
"id": 70,
"content": "この長い筆で、作品に口出ししてやるくらいが\n俺の性には合ってるだろうな。"
}
]
}