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LimbusStaticData/Localize/jp/StoryData/JP_P10912.json
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2026-07-20 17:19:20 +07:00

522 lines
16 KiB
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"content": "冷たく固まっていく死体。\nその間をかき分けて逃げる者たちが見えた。"
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"content": "力の限り走ったところで、巳から逃れられないことを\n知らないはずはないでしょうに。"
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"teller": "怯える住民",
"title": "ジア家",
"content": "ぐぁぁあっ!"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "……。"
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"content": "裏路地の夜ほどではないだろうけど、鴻園の夜もまた\n数多の恩讐がぶつかり合う。"
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"content": "だからかな。"
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"content": "偉そうに通りをうろつき、商人たちを苦しめていた者たちが\nブルブル震えながらテーブルの下に潜り込んで、"
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"content": "あれほど人を見下していた者たちが、\n誰の差し金かと問いながら偽りの涙を流す。"
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"content": "腕を振るうたびに\nその傲慢な者たちの首が刎ねられ、"
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"content": "落ちた首は木の床の上をトン、トンと滑るように転がっていく。"
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"content": "すると、ふと壁にぶつかって止まった首一つと視線が合った。"
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"content": "無念、恐怖、憂鬱。"
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"content": "閉じられることのなかった濁った瞳には\n見慣れて久しい、そういった感情が渦巻いていた。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "はっ。一体何が不幸で、そんな顔してるんだか。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "寒さに震える必要も、餓えで骨が浮き出ることもなかった癖に。"
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"teller": "反発する住民",
"title": "ジア家",
"content": "たかが家畜に過ぎない黒獣が、何を知ったふうに説教など!"
},
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"content": "背後から聞こえた怒声には振り向きもせず、\n腕を伸ばして槍を振るった。"
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"content": "もう聞く者はいないと分かっているのに、\n喉の奥がざらついてもどかしかった。"
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"content": "彼らが死ぬ理由は火を見るより明らかだったから…\nそれでも自分たちがどんな過ちを犯したのか\n分かっていないから。"
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"content": "きしむ床を歩きながら、転がる首どもに口を開いた。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "有り余る富に満足できず、欲をかいたんでしょ。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "理由なんて見え見え。ちっぽけな権力にすがる、\n糸みたいにか細い期待のせいじゃない?"
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"content": "その欲のせいで他の候補者や、主君に睨まれたんだろう。"
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"content": "積もり積もった恨みで惨めに死んだくせに、\n何をそんなに潔癖ぶっているんだろ。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "…首を斬るべき人は、全員斬ったと思うんだけど。"
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"content": "主君が下した命令は単純だった。"
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"content": "松庵(ソンアン)と呼ばれる小さな庵へ行き、\n名簿に記された者すべての首を斬ること。"
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"content": "名簿にない者を見かけたら頭を砕けという、\n変な例外条項があったけど…。"
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"content": "この小さな庵には、そんな人はいないように見えた。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "そろそろ主君のもとへ戻らないと…ん?"
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"content": "箱が積まれた場所から聞こえてきた、ごく小さな物音。"
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"content": "反射的に腕を伸ばして箱を壊すと、その隙間から\n小さな影が身を震わせながら這い出てきた。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "はは…。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "だから送ったんだ、主君。競争相手になり得る子供を、\nこいつらが密かに育ててるって知った上で。"
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"teller": "子供",
"title": "ジア家",
"content": "た、助けてください。黒獣様!"
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"title": "ジア家",
"content": "父と母が…大観園の栄光を末永く享受するには…。"
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"content": "わ、私が家主になるために努力しなければならないと\nおっしゃってました。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "乳臭いチビが、なに分かったような口を…。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "はぁ…隠すならもっとまともな場所に隠せばいいものを。\n箱の下ってなんなの。"
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"content": "べそをかく子供。目撃者一人いない静かな庵。"
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"content": "考えてみれば、主君に確信はなかったのだろう。"
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"content": "もしあったなら、あんな曖昧な命令を下すんじゃなくて、\n子供を探して殺せと言ったはずだから。"
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"content": "今回の件で黒獣を使ったのは…警告の意味合いが強かったんだろうね。"
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"content": "噂であれ、そのような話が自身の耳に入らぬようにせよという警告。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "……。"
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"teller": "子供",
"title": "ジア家",
"content": "うう…。"
},
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "うん、そうだね。"
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"content": "主君が私を助け出してくれるのなら…\n今後、私たち巳に重大な任務を任せられなくなるよね?"
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"content": "だからこんな些細な仕事に、私たち巳を使ったんでしょうね。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "ふふっ。どうやら今回の主君は、本当に約束を守るつもりみたいだね。"
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"title": "ジア家",
"content": "…え?それはどういう。"
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"content": "知る必要はない。知らない方がいいだろうしね。"
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"content": "運が良かったな、チビ。"
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"content": "私が引き受けた仕事だから、他の黒獣が来ることはない。"
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"content": "一人、同行してきた黒獣もサボるつもりなのか\n一晩中まったく姿を見せなかった。"
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"teller": "子供",
"title": "ジア家",
"content": "えっ…え!?"
},
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "大人しくしてな。下手に動いて首が飛んだら困るからね。"
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"content": "だから…首を斬るだけで大丈夫なはず。\n主君には私が上手いこと説明すれば…。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "おっと。もうほぼ終わりかけてたか。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "……。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "もしかして俺、ちゃっかり美味しいとこだけ持ってったりしてないよな?\nそうならごめんな。"
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"content": "槍に貫かれた頭が、無造作に落ちる。"
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"content": "トン、トンと床を転がった他の首とは違い、\n子供の首が落ちる音はひどく不快だった。"
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"content": "湿った肉が潰れる音。ねっとりとした血がじっとりと\nこびりつく音。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "いやぁ…今回の主君はカンは良いんだ。なっ?\nよくもまあこんなのを見抜いたな。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "あ…うん。そうだね。"
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"content": "だから…嫌なんだ。"
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"content": "判断一つすら自分で下せず、ただ主君の命令に従うだけ。"
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"content": "誰とも恩讐を結ばないけど、それゆえに道具にしかなれない立場。"
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"content": "…長く続けるようなことじゃないよね。"
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"content": "それでも、主君との約束が果たされる日が遠くないことが\nせめてもの慰めだった。"
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"content": "このうんざりする黒獣稼業も…あと数日もすれば…。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "…何で今更来たの?"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "主君に急な仕事を一つ任されたせいで、ちょっと遅れたんだ。"
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"model": "로쟈",
"title": "黒獣 - 巳",
"content": "仕事…?"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "明日、シュエ家の有力な候補者一人をどうにかする魂胆らしい。"
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"content": "この規模の任務が終われば、俺たちの轡(くつわ)は外してもらわなきゃならないだろうけど…\nそれでもこれで得られる利益があるなら、割に合うって思ったらしいな。"
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"content": "その…念のため言うけど、この前\nお前を連れ出すとか何とか言ってたやつ…信じてたわけじゃないよな?"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "えっ?まさかぁ~。当然でしょ。\n誰がそんなの信じるの。"
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"content": "口から出た言葉は妙なほど穏やかで、\n声にはむしろ生気が宿っていた。"
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"content": "だよな。筆頭でもない黒獣を連れて行くやつが、\n鴻園のどこにいるってんだ。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "家主大戦が始まった今、黒獣から抜けるなんて馬鹿げてるでしょ。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "こういうときは黒獣として生きるのが一番だって。\nだってほら、家主が決まったら休息期間もくれるでしょ~。"
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"content": "まるで自分の言葉ではないかのように、\n憂鬱な言葉が口から出てこなかった。"
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"content": "黒獣から出ることをあれほど望んでいたと認めてしまえば…\n自分の境遇がいかに惨めか、向き合うことになるから。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "間違っては無いな。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "それに私みたいな有能な巳が急にいなくなったら、みんな困るだろうしね。"
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"model": "그레고르",
"title": "黒獣 - 巳",
"content": "それは…うーん。まるっきり間違いってわけでもないけど、\n事実でもないよな。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "こういうときは、そうだって言ってあげるもんだよ。\nここで飽きるほど長くやってるだけあって、つまんないなぁもう。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "じゃあ、帰るか。\nちょうど主君のところへ行く用事があるから、報告は俺がしておくよ。"
},
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"content": "巳が去った後、私は形さえ見分けられないほどに\n潰された首一つを見つめていたけど…。"
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"content": "やがて視線をそらして、庵を後にした。"
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"content": "戻った部屋からは、じめじめとしたカビ臭い匂いがした。"
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"content": "<ruby=ワン>丸</ruby>の染み込んだ包帯、全身に付いた血。"
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{
"id": 94,
"content": "散らかった部屋が\nまるで自分の心のようで、"
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"id": 95,
"content": "こみ上げる憂鬱さを隠すように、\n膝を抱えて顔をうずめた。"
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"title": "黒獣 - 巳",
"content": "もう、本当に分かんないや。"
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{
"id": 97,
"model": "로쟈",
"title": "黒獣 - 巳",
"content": "言われたことは全部やったでしょ。\n轡(くつわ)を握ってられる、その数ヶ月がそんなに惜しかったの?"
},
{
"id": 98,
"content": "力の限り主君に忠義を尽くしたところで、巳から逃れられないことは\n分かっていたはずなのに。"
},
{
"id": 99,
"model": "로쟈",
"title": "黒獣 - 巳",
"content": "私を選ぶことだってできたでしょ。"
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{
"id": 100,
"model": "로쟈",
"title": "黒獣 - 巳",
"content": "どうして…私じゃないの…。"
},
{
"id": 101,
"content": "これ以上何も考えたくなかった。"
},
{
"id": 102,
"content": "考えるほどに、果てしなく沈んでいく気がして。"
},
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"id": 103,
"content": "あまりにも寒くて。"
}
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