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2026-07-20 17:19:20 +07:00

222 lines
8.2 KiB
JSON

{
"dataList": [
{
"id": 0,
"content": "針の輪に縫合糸を巻く。"
},
{
"id": 1,
"content": "選ぶのは2号のとじ針、巻くのは素材の<ruby=うこうわんきん>烏口腕筋</ruby>と\n後脚の<ruby=しょうこつけん>踵骨腱</ruby>を左<ruby=よ>撚</ruby>りした<ruby=ほうこうきん>縫工筋</ruby>27番。"
},
{
"id": 2,
"content": "内部の開いておいた筋膜から縫合していく。"
},
{
"id": 3,
"content": "数日前のクリティークで受けたフィードバックによれば、\n自分が集中している動物を明確にするよう指摘があったため、\n他の動物の素材はすべて除去し、追加で素材を準備してきた。"
},
{
"id": 4,
"content": "適切に裁断した素材を、\nあらかじめ切除しておいた筋膜に厚く重ねて縫合する。"
},
{
"id": 5,
"content": "本来追加しようとしていた素材の張力には\n依然として及ばないが、近似した効果は期待できるだろう。"
},
{
"id": 6,
"content": "今回の目標は、いつもと同じだ。"
},
{
"id": 7,
"content": "B-の点数を脱し、これまで以上の進歩を得ること。"
},
{
"id": 8,
"content": "この集団に加わった者は継続的な課題活動と作品点数の向上を\n図らねばならないため、この目標を変更する必要はなさそうだ。"
},
{
"id": 9,
"content": "ドーセントがおっしゃった、指輪を二重、三重に巻き上げたいという\n欲求を基に作品へ執着してみるよう、という助言を検討してみたが\n私にはそのような欲求がないことが確認された。"
},
{
"id": 10,
"content": "その他に闘犬の格闘映像視聴62回、野獣派傘下の動物園視察7回、\n猛獣ドキュメンタリー視聴71回、素材候補と共に生活すること284時間といった\n様々な助言を問題なく遂行したが、作品点数の向上に明確な助けとはならなかった。"
},
{
"id": 11,
"content": "当該小課題の意図は、野性的で\n衝動的な感覚を体感することであったが…。"
},
{
"id": 12,
"content": "マニュアルには該当する感覚を作品に反映する方法については記載されておらず、\n定量的に対応できる方法を見つけることができなかった。"
},
{
"id": 13,
"content": "…うむ。"
},
{
"id": 14,
"content": "血液袋に誤って触れてしまったか。\n演出用に用意していた血液が漏れている。"
},
{
"id": 15,
"content": "記憶を辿っている間に、やや激情的な状態になっていたようだ。\n指先の動きが荒くなったな。"
},
{
"id": 16,
"content": "大型ガーゼで袋の周辺を塞いで…マニュアルによれば、\nこれほど薄い素材は21号極細針と六度剥離した神経繊維糸で縫合する。"
},
{
"id": 17,
"content": "…よく切れるな。"
},
{
"id": 18,
"content": "経験的には…このような場合は18号骨針と\n筋繊維糸が適していたと記憶しているが。"
},
{
"id": 19,
"content": "定められたマニュアルに従って動かなければならないので、\n引き続き試みなければならない。"
},
{
"id": 20,
"content": "すべて縫い上げるには、少々長い時間を要することになりそうだな。"
},
{
"id": 21,
"content": "赤褐色の毛が、溢れ出した血液に染まった様子はなかなか野性的に見えるが…\n偶然による作法を許可するという文言はないので、拭き取らなければならない。"
},
{
"id": 22,
"content": "…このマニュアルが正しいのかどうか、再検討すべきではないか。"
},
{
"id": 23,
"content": "私の経験の中で感じている野性的な部分と、マニュアルを通じて得られる\n野性的な部分は、異なるものであるかのように思えてくる。"
},
{
"id": 24,
"content": "今し方、獲物を仕留めた野良犬が全身に血を浴びたように広がった\nこの毛の色合いの方が、よほど真に迫った野性ではないだろうか。"
},
{
"id": 25,
"content": "しかし…。"
},
{
"id": 26,
"content": "目で見るものは、どれほど信頼できるのか。"
},
{
"id": 27,
"content": "確証する方法はない。"
},
{
"id": 28,
"content": "そうであれば…。"
},
{
"id": 29,
"content": "判断は留保される。"
},
{
"id": 30,
"content": "私の実力では、神経繊維糸で血液袋を\n時間内に縫い上げることができない。"
},
{
"id": 31,
"content": "ならば、素材を…補充しなければなるまい。"
},
{
"id": 32,
"content": "美的感覚は満たされていないようだが、\nこの作品の機能的要素は検証されたようだ。"
},
{
"id": 33,
"content": "延長紐を引いたとき、機敏に飛び出す爪も正常で\nその先端も鋭いので素材を採取するのに適している。"
},
{
"id": 34,
"content": "作品に腕を差し込みやすいよう脂肪層を再配置し、打撃時の衝撃からも\n保護しており、外側を腸間膜で包んで内容物の損傷率を最大限に抑えている。"
},
{
"id": 35,
"content": "B-という点数を継続的に受けているということは、\nこの検証が私一人の考えではないという証拠として活用できるだろう。"
},
{
"id": 36,
"content": "…だが。"
},
{
"id": 37,
"content": "機能を除いた部分においては一貫して、\n私は強烈さがないというフィードバックを超えられずにいる。"
},
{
"id": 38,
"content": "一体、どうすれば…。"
},
{
"id": 39,
"content": "うむ。"
},
{
"id": 40,
"content": "面に仕込んでいた注入用針が作動した。"
},
{
"id": 41,
"content": "作品と私を強固に繋ぐための絵具が血液の中を巡り…。"
},
{
"id": 42,
"content": "作品の中に組み込まれていた筋繊維は私の手の中にしっかりと握られ、\nまるで一体となったかのようにこの道具を振るえるようにする。"
},
{
"id": 43,
"content": "この注射のおかげで、数十匹が押し寄せるこの採集場の中でも\n私はより自由に素材を採取することができる。"
},
{
"id": 44,
"content": "しかし、うむ…。"
},
{
"id": 45,
"content": "欠点としては、心を高ぶらせるという効果も付いており…。"
},
{
"id": 46,
"content": "ふうう…より衝動的に動くようになるという点が…\n引っ掻いて…弾き飛ばしたいという感覚が…。"
},
{
"id": 47,
"content": "中々堪え難い…という点がある。"
},
{
"id": 48,
"content": "あの者たちをこの大きな私の筆で…塗り重ねたなら…。"
},
{
"id": 49,
"content": "それもそれなりの…作品だろうに。"
},
{
"id": 50,
"content": "残念でならない。"
},
{
"id": 51,
"model": "뫼르소",
"title": "薬指 野獣派スチューデント",
"content": "グルル…。"
},
{
"id": 52,
"content": "この瞬間に溢れ出すこの感覚を作品に注いでも構わないという\nマニュアルの項目があったなら。"
},
{
"id": 53,
"content": "もっと良い作品が生まれていた…ことだろうに。"
}
]
}